薬剤師の仕事百貨

医師から選ばれる薬剤師になるために
〜ファーマニケーションを伝える意義〜

【プロフィール】
岡本翔佑さん(34歳 /男性)
1985年1月10日 大阪生まれ
摂南大学薬学部を卒業後、名古屋市立大学にて2年間生体防御機能学を研究。
その後新卒で武田薬品工業株式会社にMRとして入社
医師と薬剤師の医療連携を基に医療業界を変えていきたいという志を胸に、
武田薬品工業株式会社を退職後、2年半調剤薬局で勤務。
その後、株式会社PHARMA SHIFTを設立。

はじめに事業内容を教えてください

株式会社PHARMA SHIFTのCEOとして薬局経営者向けのサービスを行なっています。
薬剤師のための医師から選ばれるコミュニケーション術、『ファーマニケーション』の専門家として薬剤師だからできる営業スキルを提供しています。

なぜ薬学部を目指したのか

私が薬剤師を目指した理由は、病気を治したいと思ったからです。私が幼いころ、弟が自己免疫疾患にかかってしまい、ずっと病院で治療を受けていました。その姿を見て「なぜ世の中には治らない病気があるのか」と疑問を思い、私自身の手で薬を作り、同じように治らない病気で苦しんでいる方に対してなんとかしたいと思ったことがきっかけです。
その想いから薬学部を卒業後大学院まで行き、生体防御機能学を学びました。

MRを目指したきっかけ

2年間の研究の中で、私の長所は研究ではないと気付いてしまいました。(笑)
研究をしていた頃は、朝9時~深夜2時までずっと同じ作業の繰り返しをしていたんです。
そうしているうちに、「自分は研究をするよりも人と話をしながら医療を届ける方が向いている」と気付いたんです。そしてどうせなら日本一の会社である武田薬品で働き、医療の情報を医師を通じて患者さんに届けたいと思い入社をしました。

武田薬品での学びとMRの限界

今の私が在るのは武田薬品で働いていたおかげだと思っています。
日本で一番の会社で働く「責任感」や「プレッシャー」を感じながら、とても凄い先輩方と共に「営業スキル」や「日本一というマインド」を学び、その経験が今の私の礎になっています。

そんな日本一の会社を辞めるきっかけとなったのは、MRのルールが厳しくなっていき、私が患者さんや地域医療の貢献のためにできることが少なくなってきたためです。
それはもう両腕をもがれたような感覚でした。
それでも何とかしようと医療経営士の資格を取り、医師とのパートナーシップを目指して仕事をしていましたが、面白みに欠けていました。
MRの仕事はいらないという意見も多数あり、求められていない仕事で頑張り続けることが、本当にこれからの医療業界に貢献していけるのかを疑問に感じてしまったんです。

自分の手で医療貢献をしたい!

日本一の企業である武田薬品を辞めることを決めた時に、他の企業で働く選択肢は無くなりました。
MRとして医療貢献がしづらくなっていき、武田薬品で成し遂げたかった医療貢献ができなくなってしまい、であるならば「自分で企業を立ち上げて貢献するしかない!!」と思い、その思いが起業に繋がったのだと思います。

薬剤師の資格を持つことの強みとは

正直言うとあまり無いですね。(笑)
武田薬品のときは薬剤師であると考えた事はありませんでしたし、辞めようと考えた時に薬剤師であることを思い出したくらいです。
だけど薬剤師の資格は医療系で生きるための理由にはなっています。薬剤師は私にとっては一つのツールであり、その資格を持っていることで患者さんや医療現場の方々からの信頼を得ることができる。
また私の生きる軸として薬剤師から患者さんに良い医療を届けたいと心の底から思えているのは、自分が薬剤師だからという理由が大きいです。

薬剤師の働き方の課題

薬剤師は悩んでいる人が多いと思います。
どうしても毎日同じ作業になってしまい、退屈そうに働いている人が多い印象があります。しかも今は薬剤師にとって逆風です。
そんな中で仕事を続けていくことで、「薬剤師として充実した毎日を過ごすことができるのか」と感じます。

もう一つの課題として、医師と話せる薬剤師が少ないと感じています。私にとっては武田薬品で働いた経験があるので、医師とは友達のように話すことができます。しかし薬局では処方提案や疑義照会をすることに抵抗を感じる人が多いように感じます。
患者さんと話ができて色々な課題が見えたとしても、医師と議論する事ができないとその課題に対する提案をすることができません。結果として、患者さんにとってベストな医療を実行できていないケースもあるのではないかと思います。

薬剤師として医師と議論でき、患者さんにベストな医療を自信を持って提案できる。そんな方が増えてきて欲しいと考えています。

起業をするまでの過程

最初は薬局の経営をしようと考えていました。というより薬剤師のステップアップとして自ら薬局の経営者になる以外に道はないと考えていたんです。
そんな中で出会ったのが、株式会社FUNmacyのこじゆき社長こと小嶋夕希子さんです。この出会いからファンビジネスという考え方を知り、私の運命は大きく変わりました。

学んだことは薬剤師の起業とは薬局を経営する事だけではないということです。

私は半年間かけて、0→1で新たなビジネスを創り上げました。それこそ、毎日寝る時間を削って考え続けたことを今でも覚えています。

その結果完成したのが、薬局経営者さんに医師から選ばれるコミュニケーション術、『ファーマニケーション』を提供するという、新たなビジネスなのです。

起業家として解決したい課題

私が武田薬品で働いていた頃「MRはいらない仕事」と言われてきました。日本一であるからこそ、MR不要説の波は武田薬品に集まり、「お前たちがこういう世界を作ったのではないか」とまで言われ、悔しい思いをしたことを今でも覚えています。

同じように薬剤師もいらない仕事と言われることがありますが、
「我々はいらない仕事のため資格を取ったのか?そんなことはありません。」しっかりと勉強をして資格を取り、現場で経験も積んでご活躍されている薬剤師の方々が数多くいます。

そのような薬剤師がもっと増えていけば世の中は変わっていき、薬剤師の評価も高まっていくはずです。

そしてそのような薬剤師が増えるために最も必要な能力が、医師とパートナーになることができるコミュニケーション力なのです。

正直、医師とコミュニケーションが取れなくては良い医療を提供することはできません。だって、治療方針を考えるのは医師なので、医師と関係構築が上手くできて、ディスカッションできないことには医療に介入することは不可能であるからです。

ですが、多くの薬剤師さんと話をしているとそこを苦手としている方が多く見受けられます。
この症状を私は「医師恐怖症」と呼んでいます。
医師とパートナーになることを避けている限り、良い医療を提供して薬剤師の評価を高めることは不可能だと思います。

そういった現状を変えるために薬剤師にコミュニケーションスキルを身につけていただきたいと思っています。

ただコミュニケーション力を高めるだけではまだ不十分であると感じています。この能力が必要だと感じてくれる薬剤師が利益をしっかりと上げられる能力を身に着けていただき、良い医療も提供しながら薬局自体を成長させていくことが必要であると考えています。

そういった背景から私はただのコミュニケーションすきるではなくて、コミュニケーションスキルと営業スキルを掛け合わせた「ファーマニケーション」として、多くの薬剤師にそのスキルを提供しています。

さらには社会に良い医療を届けるためにはまずは経営者が変わらなくてはならないと考えており、そういった理由から薬局経営者を対象にファーマニケーション伝えています。そしてそこから考え方を変え日本中に広げて、たくさんの薬剤師が良い医療を届けることができる世界を目指しています。

薬剤師は必要であるという未来に向けて

特に地方では人材が不足していて、良い医療が患者さんに届いていないことが多いのが現状です。

高齢化が進んでおり、医療が患者さんに届かなくなる。そんな未来まで残された時間は限られています。そんな課題をクリアするためにも、数年後には地方も含め、全国各地で薬剤師を育成して患者さんに良い医療を届けられる世界が創ろうと考えています。

 

最後にこの記事を読んでいる読者にメッセージをお願いします。

薬剤師という仕事にやりがいを感じることはできていますか?

薬剤師は医師とパートナーになることでまだまだ輝くことができます。

ただそれには「医師恐怖症」を乗り越えるコミュニケーション力を磨くことが必須です。

良い医療を提供することが、薬局の成長につながる。そんな正のスパイラルをより多くの薬剤師さんに体感していただきたいと考えています。

SNSでフォローする