薬剤師の仕事百科

ドラッグストアだからこそ学べる薬剤師の仕事

【プロフィール】
A・Yさん(30歳前半/男性)
私立の薬学部を卒業後、新卒でドラッグストアに入社
主に調剤業務を行っており、今は薬局長として仕事をしている

なぜ新卒でドラッグストアを選んだのですか?

ドラッグストアでありながら調剤薬局もたくさん出店しており、小売業というよりは調剤薬局に限りなく近いと感じたためです。そしてドラッグストアは調剤薬局と違い、一般用医薬品や健康食品も付加価値として学びながら仕事ができるのも魅力的です。
小売業として働かないと学べない「商業の知識」「マーケティング」「物流」も学べます。

その中でも弊社を選んだ理由は、他のドラッグストアに比べて未来の薬局像や薬剤師の働き方が明確化されていて、とても新しさを感じたことが入社の決め手でした。

仕事の9割以上は調剤業務

今は調剤併設型の店舗で管理薬剤師として働いています。併設型と言っても9割以上は調剤業務を行っていて、フロアへは接客で呼ばれて対応するくらいです。接客と言っても、一般社員ではできない薬の相談がメインです。
なのでフロアの業務である品出しやレジ打ちは全くしていません。

一日の仕事のスケジュールを教えてください

まず出社してから午前中は、処方箋が最も多い時間なので一番忙しいですね。
12時30分頃から患者さんが減り始めるので、お昼休憩をとりながら、午後診療までの間に「発注業務」「薬の納品」「クリンリネス」「シフト作成」「本部指示業務」を行っています。
午後の診療開始時間までにある程度仕事を済ませた状態にできるかが勝負ですね。
午後から仕事終了までは基本的にずっと調剤を行っています。

薬剤師は2人と医療事務1人で月の処方箋枚数は1400枚なので、1日平均4,50枚です。
処方箋は面で受けているので色々な処方がくるので結構大変ですね(笑)。
今は人も足りないので月に30~40時間ほど残業をしています。

患者さんから頼りにされたり、ありがとうを言われるのはやりがいに繋がる

やはり患者さんと話をしているときはとても楽しいですね。
病院の先生には言いにくい話をしてくれたり、「今日は〇〇さんはいないの?」と言っていただけると、患者さんから頼りにされていると感じ、とても嬉しいです。
その他には膨大な数の処方せんがきたとき、1,2年目では焦っていましたが、今ではしっかりと時間管理を行いながら定刻通りにさばききることができるようになって、達成感を覚えるようになりました。

逆に薬剤師はルールに縛られて仕事をしていることがネックです。
例えば処方箋枚数を上げることに関して、患者さんに「うちの薬局に来てください」とも言えず呼びかけるには限界があります。
フロア業務の場合はPOPを作成したり接客をしたり、その他様々な戦略を打ち、集客をする自由競争です。
調剤報酬や薬機法で守られている分自由度は下がってしまうのだと思います。

また薬局の売上は基本的に病院に依存する形になってしまうため、トップダウン方式になりがちです。
ここを勘違いして劣等感を持ってしまう人はこの仕事には向いていないと思います。

社風や労働環境について「人間関係や雰囲気」・「価値観や考え方」・「仕事の進め方や評価」の3点をお聞かせください

「人間関係や雰囲気」に関しては縦社会感は全然ありません。私がこの会社しか経験したことがないので、他社と比較はできませんが、和気あいあいとしていて、とてもアットホームです。
飲み会を開く場合でも、上司を必ず上座に座らせたり、新人が感じをやらなければいけないなどもなく、普通に3,4年目の人も幹事をやります。
今は5店舗以上経験をしていますが、どの店舗も似たような感じで、人間関係が嫌で異動したいと思った事は一度もありません。

「価値観や考え方」については、現場で働く人と本部で働く人に若干の乖離があると思います。
というのも、本部は「がんがん仕事をやろう」という体育会系が多く、現場で働く人は保守的な人が多い印象だからです。
どちらが良い悪いということではないですけどね。

「仕事の進め方」はさまざまな仕事がマニュアルで決まっています。
マニュアルの存在はとても大事なだとは思いますが、明らかに必要ではないと思えるマニュアルも実際はあります。


「評価」については、「管理薬剤師」「課長」「部長」になったからといって給料が上がるわけではなく、職能資格人事制度を採用しています。要するに全ては評価と資格試験・昇級試験によって決まるため、現場で働き続けたい人にも給料を上げるチャンスがあります。

育休・産休もしっかりとした制度があり、女性は働きやすい

弊社は業界内でも女性社員は多いと言われています。
育休・産休制度もしっかりと機能しているため、会社復帰をする人は一定数います。
また女性店長もいるため、キャリアアップも狙うことができます。

ずばり年収を教えてください

基本給は薬剤師手当込みで31万円でぼーなすは2ヵ月分が2回です。
なので1年目は450万円ほどになり、家賃補助込みで510万円くらいです。

人にもよりますが、6年目で家賃補助と残業代抜きで540万円くらいになり、月30~40時間残業と家賃補助を合わせて760万円くらいになります。

サービス残業はありませんが、人が足りない店舗だとどうしても残業が多くなってしまいます。
もちろん残業が無い店舗もありますが、体力が無いと厳しい仕事なのかなと思います。

将来のキャリアプランは店舗開発や教育に携わること

このままずっと調剤薬局の中で仕事をしていくつもりはありません。
今後は店舗開発や社員教育の分野に入っていき、新入社員に対して調剤マニュアルに沿ってしっかりと仕事に溶け込めるようにサポートしたり、学術的な講義をしたり、接客などの研修を行っていこうと考えています。
今の自分は、いち薬剤師でしかないですが、今後は薬剤師の殻を破りさまざまな仕事を行っていきたいです。

この業界の不安点はなんでしょうか?

今後は診療報酬の改定によって薬局の売上の低下が予想されます。
そのため、調剤技術料の確保や在宅業務などをしっかりと行っていく必要があると思います。
また薬局業界に関しては、医療事務の仕事が増えているにも関わらず、なかなか給料は増えていない実情があります。
このままでは医療事務も慢性的に足りなくなり、結果薬剤師も業務の負担が増えるのではないでしょうか。

この業界に入りたいと思う方に向けてメッセージをお願いします

実際ドラッグストアは調剤薬局よりも大変な仕事だと思います。
土日も出勤しないといけないので、時間に縛られ、さらに在宅業務も重なるとより一層忙しくなります。
しかし調剤薬局よりは確実に多くのことを学べます。
たくさん働いてたくさん学び、高い給料を求めている人にとってはドラッグストアの仕事は決して悪いものではないでしょう。
また弊社は薬剤師としての仕事を求められるドラッグストアであり続けるため、薬剤師としてのあなたを欲しています。

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